平敦盛の首塚、源平の庭、宝物館など源平ゆかりの品々が数多く伝わり、特に一ノ谷合戦に思いを馳せるのに相応しい場所の1つです。
とにかく広い境内。その中でも源平に纏わる箇所をこのページでは取り上げます。
山門をくぐってまもなく左手に見えてくるのが平敦盛、熊谷直実の像。
寿永3年(1184)2月7日、一ノ谷後方の山の斜面から突然、源義経軍が馬で駆け降り平家の陣に突入した奇襲「鵯越の坂落し」
それにより平家の陣は総崩れとなり、多くの人が沖に停泊している平家の船へ逃れようとしました。
その途中で討ち取られた1人が平敦盛16歳(平家物語だと17歳)
騎馬のまま海に乗り入れたところを源氏軍の熊谷直実に引き返せと煽られました。
これを再現したのがこの源平の庭です。
これに呼応し敦盛と直実は組み合いますが直実は平治の乱などにも出陣している手練れ。
ほぼ公卿と化していた平家全盛期、戦の経験もないであろう敦盛が敵うはずもなく馬から落とされました。
ここで直実は自分の息子と同じ年頃の美少年だと気づきました。(須磨寺副住職さんによるとポイントは美少年)
直実は名を問いますが敦盛は良い敵だから早く討取れと頑として名乗りません。
そうしているうちに他の源氏軍が駆けつけてきます。
直実は我が手にかけることを決め、首を取りました。
腰の笛から敦盛だと分かり直実は後日、遺品とともに敦盛の父・経盛に首も送っています。
この笛は鳥羽法皇から経盛へ与えられ、息子の敦盛へと伝わった笛で小枝:さえだ:が今では青葉の笛と呼ばれています。
そんな場面を思い起こしながらこの庭を眺めると余計に桜と敦盛像が美しくはかなく見えてきました。
角度違いも♪
上から見るのもまたいいですね。
源平の庭の後方に見えるのが宝物館、寺務所・納経所です。
青葉の笛などが常時展示されている宝物館、面白い仕掛けがされている小石人形舎もどちらも無料です!!
現在は無料の宝物館ですが過去には須磨寺が経済危機に陥った時に青葉の笛を特別公開、多くの方が訪れ拝観料が集まり須磨寺を救ったと2016年のちょこっと関西歴史たびに参加したときに副住職さんがお話されていました。
松尾芭蕉が高い拝観料を嘆いたという記録もあるそうです。
それが現在では無料、ありがたいことですね。
様々な展示があり個人的にもおすすめです。
小石人形舎には多数の平家の人々の石人形など。ぜひ現地でゆっくりご覧ください。
鯉が泳ぐ小さな池。平敦盛の首実検は源義経。
屋根の下の木の枝、これが首実検をした時の源義経腰掛松です。
池から2~3分ほど歩くと敦盛の首塚です。
少し高いところに大切に祀られている様子です。
ここは桜がありませんので緑が綺麗な季節がおすすめです。
「空顔憐清:くうがんれんせい:」は敦盛の戒名です。
一ノ谷合戦から800年の1984年(昭和59年)に落慶法要が行われた三重塔。
弘法大師入定1150年、開創1100年、平敦盛八百年遠忌の記念事業で、約400年前に倒壊した旧塔に代わるものだと書籍『滅びの美「敦盛」』(昭和60年 須磨寺発行)に書かれています。この書籍は寺務所・納経所にて1100円(税別?)にてお求めいただけます。
木々の緑に赤が映えますね。
一段低い所の出世稲荷は平清盛ゆかりの稲荷明神を須磨寺に移して祀られています。
一ノ谷合戦、敦盛、忠度を偲ぶ歌で毎年3月の敦盛祭に一絃琴で演奏されている曲です。
弁慶ゆかりの鐘。自由につけます。
普段はお目にかかれませんが本堂には平敦盛の位牌が置かれ、御本尊の聖観世音は源頼政が1169年(嘉応元年)に安置したとされています。
須磨寺は2017年3月26日から始まった「平家物語巡りの御朱印」の1箇所です。
下記6か所の平家物語巡りの御朱印をいただくと素敵な「御朱印扇」を受けられます(別途扇代)
①須磨寺(兵庫県神戸市)
②屋島寺(香川県高松市)
③六萬寺(香川県高松市)
④厳島神社(広島県廿日市市)
⑤大聖院(広島県廿日市市)
⑥赤間神宮(山口県下関市)
※②と③、④と⑤は1日で参拝できる距離です。
期限はありませんので思いついたときにいかがでしょうか。
詳しくは↓公式サイトでご確認ください。
http://www.heikemonogatari.net/goshuin.html
2016年4月9日に開催された『須磨寺 夜音 音楽法要祭』の一番最後の読経です。
荘厳な空間に言葉に言い表せません。
源平合戦・戦争で命を落とされた方々への弔いと平和を祈る法要です。
音楽の演奏、舞、平家物語の語りと読経が一帯になり、源平合戦・戦争で命を落とされた方々への弔いと平和を祈る法要です。
2015年に第一回が開催され、反響の大きさに第二回も開催する運びとなったそうです。
非常に多くの方が来られていて、本堂前正面から左右にまで人で埋め尽くされていました。
6分35秒~平家物語の冒頭の語りとともに一ノ谷合戦で亡くなった人々、平敦盛への祈りが始まります。
2018年10月8日にも参加しました。
小池陽人副住職
宗派は無関係ですので能福寺のご住職も和太鼓演奏で参加されています。
法話が大好きな須磨寺の小池陽人副住職。
疫病が流行る以前は公開収録の会場はこんなにも混雑していて、当初予定の会場から急遽広い方へ変更となったほどです。
お話し上手で大人気の様子です。
これまでの法話などはYouTube「須磨寺小池陽人の随想録」で公開されています。
https://www.youtube.com/channel/UCerl5qprPtAhh3S1lSb8IIg
書ききれないほど見どころ多数、ユニークな仕掛けがある須磨寺。
四季折々の境内も見どころの1つです。
疫病が流行ってからは開催されているのか不明ですが観光案内も。
2016年には全国平家会会員として同席させていただきました。
ありがとうございました。