法勝寺は白河法皇の御願寺で、権力の象徴でもありました。法勝寺には金堂、阿弥陀堂、南大門などがあり相当な規模であったと推定されています。
②京都地下鉄「東山」駅徒歩10分(正面エントランス側)
京都市動物園は、平安時代後期に白河天皇(法皇)が建立した法勝寺境内の南半部にあたります。
法勝寺は、金堂・八角九重塔・講堂・阿弥陀堂などの仏堂を備えた、院政期の京都を代表する大寺院でした。
京都市動物園内では、八角九重塔や阿弥陀堂の建物跡とともに庭園の池跡などが見つかっています。
池の中島に築かれた八角九重塔は、現在の観覧車の位置にありました。
高さ27丈(約81m)との記録があり、基壇の上に9層の屋根と最下部に裳階<もこし>と呼ぶ小さな屋根が取り付く巨大な塔が聳え立っていました。
2010年に行われた発掘調査では、白川砂の軟弱な基盤を約1.5mの深さまで掘り下げ、一抱えもある大きな石や粘土を交互に積み上げて、堅牢な地盤改良が行われていたことがわかりました。
ここに展示している石材は、花崗岩製の細長い切石で、同じ形状の石材は南側の噴水池の中にも見ることができます。
これらは一端の角が、二つ合わせにすると約135度になるように加工されていることから、八角九重塔の基壇に使用されていた石材である可能性があります。
協力:京都市考古資料館
(公財)京都市埋蔵文化財研究所
花崗岩製の細長い切石は恐らくこの石。
観覧車の付近が法勝寺のシンボル・九重塔があったとされています。
法勝寺九重塔の碑は観覧車の北側にひっそりと建っています。
東エントランス入ってすぐ右手の建物の中では京都市動物園と法勝寺についての説明が展示されています。
この周辺には「勝」の字が付く寺院が全部で6箇所建立されました。
①法勝寺(白河天皇)
②尊勝寺(堀河天皇)
③最勝寺(鳥羽天皇)
④円勝寺(鳥羽天皇皇后・藤原璋子)
⑤成勝寺(崇徳天皇)
⑥延勝寺(近衛天皇)
これらは合わせて「六勝寺」と呼ばれ現存していませんが、動物園周辺には跡を示す碑が建てられています。
今でも桜が多数植えられていますが、平安時代にも花見が行われていたようです。
平通盛が小宰相(こざいしょう)を見初めたのが法勝寺の花見の時と、平家物語には書かれています。
小宰相は宮中一の美人と云われる人物。
桜の下で見るとより一層美しさが引き立っていたのかもしれませんね。
そして通盛は小宰相にせっせと手紙や歌を送るようになります。
熱心に3年間送り続けても小宰相から返信は一切ないまま。
これが最後と諦めの気持ちで送った手紙が、運良く小宰相が仕える後白河天皇の姉・上西門院の目にするところとなり、上西門院の取持ちで通盛と小宰相は結ばれるんですね。
もう少し詳しく書くと、手紙を届けに行った通盛のお使いの者が、いつも取り次いでいる女房に渡すことが出来ず、通りかかった小宰相が乗る牛車の中に手紙を投げ込みます。
小宰相は投げ込まれた手紙を捨てることも出来ず、仕方なく帯に挟んで働いているうちに手紙を落としてしまいます。
それを拾った上西門院。誰のものか尋ねても誰も知らないと言う中、小宰相が顔を赤くしていたことで持ち主が判明します。
上西門院はその手紙に書かれていた歌に返歌を送り、通盛にもっと手紙や歌を送るように促す一方で、小宰相には小野小町の寂しい晩年を例に出して、身を固めるように仲を取り持って、通盛の3年は実るんですね。
このエピソードがすごく好きで、法勝寺があった場所の桜を見ながら、小宰相さんはとても綺麗な人だったんだろうと、自分が通盛になった気分で妄想してました(笑)
現在私たちが多く目にする桜は品種改良で誕生したものがほとんで、平安時代の人々が観ていた桜とは違いますが、いつの時代も桜を愛でる気持ちは同じだと思います。
一ノ谷合戦で通盛は討ち取られ、悲しみのあまり小宰相はお腹の中の子と共に海に身投げをしてしまう、あまりにも辛い結末となるのですが、桜を見ていると幸せな頃の2人が見えるような気がしました。
ヘビも数種類いますが、嫌がられることが多いので写真は控えます。気付けば最も多く撮っていたのはヘビの写真(笑)
東エントランス入って左手のカフェ・グッズショップではメニューにゴリララーメンが(^O^)/
メニューにあったゴリラパンケーキは次回のお楽しみ!
他にもお弁当が販売されていたり、図書館カフェもあります。
動物園の東南に位置する西福寺。
「圓光大師 法然上人 巡拝のしおり」によると西福寺は元は法勝寺の旧境内で、平重盛の孫・源智が小宰相の弔いのために再興させたそうです。
また、ご本尊の阿弥陀如来像は法然上人が源智に形見として授けたもので、千手観世音菩薩は平重盛の念持沸と書かれています。
南禅寺に向かう途中の細い道を北に入ると門が見えてきます。
南禅寺前交差点の川沿いの桜は、同じ木にピンクと白の花が混じって咲いていて可愛らしいです。桜の季節がお勧めです。